演じるにあたって
2.主要キャラクターのイメージはサイトTOPよりご覧いただけます。
3.()は漢字の読み方、または、キャラクターセリフ中の動作を表現します。
4.ーーXXX は状況や動作を表現するト書きです。
5.ーーーーー はシーン転換や間を開けることを意味します。
元魔王 旅人 年齢:数千歳
魔王の娘 年齢:11
神兵団筆頭騎士 神の力 年齢:46歳(体は20歳前後)
魔族 呪術師 魔王城の執務間 数百歳(人間年齢25歳前後)
飲食店の店員女性 年齢:20代後半
人攫いにあった女性 年齢:30代後半
幼い魔族奴隷 年齢:12歳 内気
ーーーーー
ーーバルミスへ向かう中間地点の宿場に駐屯する新兵一同
ーーーーー
ビビアン:お疲れ様です。客人の皆様。途中の宿場町に到着しました。本日はこちらの宿場で駐屯しますので、馬車を降りるなり、ご自由にしてください。明朝(みょうちょう)日が昇る頃に出発を予定していますので、日が上り始める頃には、こちらへいらしてください。
ーーーーー
ーー馬車から降りるイーラ
ーーーーー
イーラ:(大きく伸びをして)ふー!ずっと馬車の中って、疲れるね。
ヴェル:そうだな。
イーラ:ヴェルは大丈夫なの?
ヴェル:ふむ。さすがに、体が鈍るな。
イーラ:だよね・・・(大きく伸びをして)・・・ねぇ、ここはどこ?
ヴェル:わからん。おそらく、バルミスへ向かう道の中頃にある宿場だろう。
イーラ:へぇ〜。なんか、のどかだねぇ〜・・・。あっ!ねえ、あれ!
ヴェル:ほう。魚の乾物(かんぶつ)屋か。
イーラ:バルミスって港町なんだっけ?
ヴェル:そうだ。
イーラ:じゃあじゃあ!港が近いから、お魚が多いのかな?
ヴェル:おそらく、そうだ。
イーラ:やった!・・・えへへ、なんかちょっと、商売?のことわかってきたかも。
ヴェル:うむ。そうだな。
イーラ:えへへ。ね、ね、この街はなんて名前かなー・・・。
ヴェル:ふむ。・・・ビビアンなら知っているだろうか。
イーラ:そっか!・・・えっと、今聞いても、大丈夫かな?
ヴェル:大丈夫であろう。
イーラ:そっか!・・・(とてとてとビビアンのところへいって)すみません!
ビビアン:ん?はい、どうしましたか。客人・・・いえ、イーラさん。
イーラ:え?・・・えへへ、えっと、ここはなんていうところなんですか?
ビビアン:ここは、トレイル、という宿場です。バルミスとアキュエリを結ぶ道程のちょうど中間に位置する宿場です。街を往来する商人は、ここで一泊して体を休め、残りの半分の道を行きます。
イーラ:トレ・・・?
ビビアン:トレイル、です。
イーラ:・・とれいる!ありがとーございます!
ビビアン:はい。何か他に気になることはないですか。
ヴェル:すまぬが、私からも一つ良いか。
ビビアン:はい、なんでしょうか。
ヴェル:そなたらの客人には魔族もおるのか。
ビビアン:います。魔大陸から鉱石を買い手の元まで届けるために往来の荷物の番をする奴隷がいます。
ヴェル:ふむ。
ビビアン:魔族の気配を感じましたか。
ヴェル:そうだ。
ビビアン:そうですか。では、他にありますか?
ヴェル:ふむ。大丈夫だ。イーラはあるか。
イーラ:んー・・・ない、かなぁ!
ビビアン:わかりました。では、明日の明朝までゆっくりしてください。
イーラ:はい!ありがとーございました。
ヴェル:では、イーラよ、少し見て回るとするか。
イーラ:え?うん・・・うーん・・・
ヴェル:・・・
イーラ:・・・あー・・・
ヴェル:魔族が、気になるか。
イーラ:え?・・・あ、うーん・・・うん。
ヴェル:ふむ。
イーラ:ね、どこにいるか、ヴェルなら、わかるんでしょ?
ヴェル:・・・ふむ。では、様子を見に行くとするか。私も少し気になるのでな。
イーラ:ほんと!やったー!
ーーーーー
ーー一つの飲食店の前で突っ立つコロボ。ちょっと離れたところから見るイーラとヴェル
ーーーーー
コロボ:(ぼーっとして)・・・あー・・・
イーラ:・・・ね、あの人が魔族??
ヴェル:・・・そうだ。
コロボ:(ぼーっとして)・・・あー・・・
イーラ:・・・何してるのかな?
ヴェル:・・・ふむ。
コロボ:(お腹が鳴って)・・・あー・・・
イーラ:・・・お腹減ってるのかな?
ヴェル:そのようだ。
イーラ:お金ないのかな?
ヴェル:ふむ。そうだろう。
イーラ:・・・ね、一緒にご飯食べれないかな?
ヴェル:・・・ふむ。
コロボ:(お腹が鳴って)・・・ん、もどろ。
イーラ:あっ(飛び出して)ま、待って!
コロボ:え?・・・きみ、誰?
イーラ:あっ・・・
コロボ:・・・?
イーラ:わ、私はイーラ!旅をしてるの!
コロボ:旅?そっか。後ろのでっかい人と?
ヴェル:そうだ。ヴェルという。旅人だ。
コロボ:ぼくはー、コロボ。・・・奴隷・・・
イーラ:そっかぁ、コロボは何歳なの?
コロボ:え、12歳、だけど、魔族に年齢はあんまり関係ない・・・。
イーラ:そうなの?
コロボ:うん・・・力の強さで、変わるから・・・。
イーラ:そうなんだ!でも、12歳ってことは私とあんまりかわらないね!
コロボ:・・・イーラは何歳なの?
イーラ:私はね、もうすぐ12歳、かな。
コロボ:(じっと見つめて)そっか、で・・・
ヴェル:ふむ。イーラがそなたと食事がしたい、そうだ。
イーラ:うん!
コロボ:ぼ、僕と?
イーラ:えへへ、だめかな。お腹減ってたみたいだったから・・・
コロボ:でも、僕、お金ないよ。
ヴェル:ふむ。
イーラ:えっと・・・いいよね?ヴェル。
ヴェル:うむ。イーラの脚本料もある。
コロボ:きゃく、ほんりょう?
イーラ:えっと・・・最近までお仕事してたの!だから、お金は・・・ちょっとだけどあるの!
コロボ:そう、えっと、でも・・・僕
イーラ:うん?
コロボ:奴隷、だから・・・
ヴェル:ふむ。コロボよ。
コロボ:え?
ヴェル:そなたの話を聞かせてくれぬか。
イーラ:そう!・・・えへへ、えっと、ご飯のお金は、お話を聞かせてくれる分ってことで・・・だめ、かな?
コロボ:あ・・・なら、うん。
ーーーーー
ーーみんなで飲食店に入る
ーーーーー
店員:はーい!ご注文は以上ですね。では、ただいまお持ちますので、少々お待ちくださーい!
イーラ:お願いしまーす!・・・楽しみだね!
ヴェル:そうだな。
イーラ:おっさかな、おっさかなー。
ヴェル:して、コロボよ。そなたは、どこの奴隷か。
コロボ:え・・・っと、魔大陸の・・・
イーラ:へー!コロボは魔大陸からきたんだ!
コロボ:そう・・・。魔大陸で炭鉱夫をしてて・・
ヴェル:炭鉱奴隷か。
コロボ:そ、、、そうです。
イーラ:それでそれで?
コロボ:アキュエリまで、魔鉱石の番をしてて・・・
イーラ:ばん?番って何をするの?
コロボ:えっと、積み荷が盗まれたりとか、あとはー、ちゃんと決められたお代がもらえたかとか・・・
イーラ:へー!
コロボ:今は、アキュエリまで積み荷を、届けた後で・・・
イーラ:一人で?
コロボ:そ、そう、かな。
イーラ:なんかすごいね!
コロボ:え・・・すごいかな・・・
イーラ:うん!私は・・・えへへ・・・しっかりしてないから、ちゃんと番?はできないかも・・・
コロボ:あ、でも・・・こうやって神兵団さんとかといる時は・・・あんまり・・・
店員:お待たせしましたー!ご注文の魚の焼き物の2つと、煮込みの定食でーす。
イーラ:わ!きたあ!!
ヴェル:私が煮込みだ。
店員:はーい、どうぞー。
イーラ:わあー!おいしそー!
コロボ:わあ・・・・。
店員:美味しいわよー。バルミスから仕入れてうちで干した自慢のお魚なんです!
イーラ:へー!
店員:あと、パンはあっちにあるから、好きなだけとって食べてくださいねー。じゃ、ゆっくりしていってねー。
イーラ:はーい!・・・ね、ヴェル、美味しそうだね!
ヴェル:そうだな。
イーラ:えっと、フォークとナイフで食べたらいいの?
ヴェル:そうだ。
コロボ:・・・フォークとナイフ・・・
イーラ:こうやってー・・・あー、あむ!(もぐもぐして)・・・んー!おいしー!
ヴェル:ふむ・・・
イーラ:・・・あー、あむ!(もぐもぐして)・・・んー!・・・あれ?コロボは食べないの?
コロボ:え?・・・いや・・・
ヴェル:食器が苦手か。
コロボ:う、うん。
ヴェル:誰にでも初めてはある。ゆっくりと食べると良い。どのみち明日の朝までは、身動きができぬゆえ、暇(いとま)はいくらでもある。
コロボ:・・・う・・・
ヴェル:ふむ。・・・イーラよ。
イーラ:あー(口を開けて声をかけれて止める)・・・ふぇ?なあに?ヴェル。
ヴェル:パンを3つほど、取ってきてくれぬか。
イーラ:うん!いいよ!(食器をおいて立ち上がる)えっとー・・・あ!じゃ、行ってくるねー!
ヴェル:うむ。・・・してコロボよ。
コロボ:・・・は、はい。
ヴェル:無理にナイフを使わなくても良い。ふむ・・・こう、切り分けた後に、フォークでさして食べると良い。
コロボ:あ、ありがと・・・えっと、こう・・・
ヴェル:うむ。
コロボ:・・・あー・・・(もぐもぐして)・・・お、おおお!
ヴェル:味はどうだ。
コロボ:・・・え・・・お、おいしい・・・です。
ヴェル:そうか・・・(もぐもぐ食べ始める)・・・
コロボ:・・・あー・・・(もぐもぐして)
ヴェル:(もぐもぐ)
イーラ:ただいまー!・・・ねっ!ねっ!ヴェル!
ヴェル:どうした。
イーラ:あっちにね、色んなパンがいーっぱいあったよ!
ヴェル:ほう。
イーラ:はい!(パンをテーブルに置いて座る)よいしょと。
コロボ:・・・あー・・・(もぐもぐ)
イーラ:あ、コロボが食べてる!・・・ね、おいしい!?
コロボ:あ・・・お、おいしい。
イーラ:そっかー!えへへ・・・。(パンを取って)はい、パンも美味しそうだったよ!
コロボ:・・・ありがと。
イーラ:どういたしまして。ヴェルも、はい。
ヴェル:ふむ・・・(パンを齧って食べる)
イーラ:あー・・・(もぐもぐ)
コロボ:ね、ねぇ、イーラ。
イーラ:(もぐもぐしながら)ふぇ?なに?
コロボ:これ終わったら・・・僕も、一緒に、パンを見に行ってもいい?
イーラ:(もぐもぐしながら)いーよ!一緒に行こ!
コロボ:・・・ははは、うん。
ーーーーー
ーーみんなでご飯を食べ終わった後
ーーーーー
イーラ:ごちそーさまでしたー!
店員:はーい!ありがとうございましたー。
イーラ:・・・あー!おいしかったー!
ヴェル:ふむ。
イーラ:コロボもおいしかった?
コロボ:え、うん。
イーラ:そっかー、えへへ。
コロボ:あ、、、ありがとう。
イーラ:え?うん!・・・えへへ・・・ねぇ!ヴェル!もうちょっとコロボと遊んでいい?
コロボ:え・・・
ヴェル:ふむ。かまわんが・・・
イーラ:??
ヴェル:あちらの家が集まっている付近は気をつけることだ。
イーラ:え?どうして?
ヴェル:ふむ。魔素感知器があるためだ。小さな宿場ゆえ、家のあるところのみ、設置してあるのだろう。術を使わなくとも、コロボよ、そなたが近づいたら警報が鳴る。
コロボ:は、はい。
イーラ:はーい!
ヴェル:そうだな、私は少し、ビビアンと話をしてくるとしよう。
イーラ:え?一緒にいないの?
ヴェル:うむ。すぐ戻る。心配しなくとも良い。
イーラ:うん、わかった!
ヴェル:コロボよ。
コロボ:は、はい・・・
ヴェル:イーラを頼む。
コロボ:・・・はい!
ヴェル:では。
イーラ:はーい!ヴェル、あとでねー!・・・ね!何しよっか!
コロボ:何も考えてないの・・・?
イーラ:えへへ・・・うん。あっ!じゃあじゃあ、コロボのお話を聞かせて!
コロボ:僕の、お話?
イーラ:そう!コロボは魔大陸のどんなところから来たの?ママは?パパはいるの?
コロボ:えっと・・・いない。
イーラ:そうなんだ!
コロボ:・・・え、気まずくないの?
イーラ:うん?うーん・・・私もね、ママはいないんだ。
コロボ:そうなんだ・・・。
イーラ:パパは・・・うーん・・・多分パパなんだろうなーって人はいるんだけど・・・えっとー・・・
コロボ:いるんだけど?
イーラ:なんか、パパって感じじゃないんだよねー・・・えへへ
コロボ:そっか・・・なんか僕らちょっと似てるね。
イーラ:うん!そうだね!・・・ねえ!ママとは会ったことあるの?
コロボ:え?・・・うん。
イーラ:いいなぁー!
コロボ:いいの?
イーラ:うん!私ね、ママとは会ったことがないんだぁ・・・。
コロボ:そう、なんだ。
イーラ:・・・あー、えへへ・・・ねっ、コロボのママはどんな人なの?
コロボ:えっと・・・
ーーーーー
ーーサラと会話するコロボ
ーーーーー
サラ:ただいまー。
コロボ:あ、母ちゃん、おかえりー!
サラ:ごめんなさいねー。遅くなっちゃって。コロボー、元気にしてたかしら。
コロボ:うん。
サラ:ごめんなさいね、なかなか帰って来れなくて。
コロボ:あ、忙しいんでしょ。僕は大丈夫。ねぇね、母ちゃん、みて、ほら。
サラ:ん?それは、失明呪(しつめいののろい)?
コロボ:そう。できるようになったんだ。
サラ:ふふ、立派ね。
コロボ:立派な呪いができるようになったら、その。。。お城の周りだけでも僕が変わって・・・
サラ:そう。嬉しいわ、ありがとう、コロボ。
コロボ:・・・うん。
サラ:じゃあ、そのうちお願いさせてもらおうかしら。それがなくなるだけで随分と楽になるから。
コロボ:うん・・・へへへ・・・・・・ね、ねえ、母ちゃん。
サラ:何かしら?
コロボ:次は、いつ帰ってこれるの?・・・最近ずっと家にいないから・・・
サラ:あー・・・そうね、ごめんなさいね。寂しい・・・わよね。
コロボ:え?うーん、大丈夫。父ちゃんもいるから。
サラ:そう・・・。ふふふ、えらいえらい。(頭を撫でる)
コロボ:や、やめてよ。
サラ:まだ生まれたばっかりなんだから、恥ずかしがらなくていいのよ。
コロボ:も、もう3ヶ月になるんだ、立派な魔族なんだから・・・
サラ:無理しなくていいのよ。ゆっくりと魔素を蓄えたらいいわ。あー・・・それと、きっと、またすぐ帰ってこれるかも。
コロボ:え?そうなの?
サラ:うん。よく勘が当たる友達がちょっと前に言ってたのよ。もうすぐ、戦争が終わるって。
コロボ:あ、そっか・・・。そっか。
サラ:もう少しだから、いい子にできるかしら?コロボ。
コロボ:うん・・・できる。
サラ:そう、ありがとう。
コロボ:・・・
サラ:さて、たまには食事でも作ろうかしら。ママの人族のお友達がね、人族の料理を教えてくれたのよ。
コロボ:いつも言ってる?
サラ:そう。ちょっと困りものなんだけど、なんというのかしらね。太陽のような人よ。
コロボ:太陽?
サラ:そうね。でも、ちょっと褒めすぎかもしれないわね。
コロボ:・・・わかんない。
サラ:ふふ。そのうち会わせてあげるわね。ちょっと今はー、お家に帰っているから、今後ね。さて、何を作ろうかしら。
コロボ:・・・ねぇ母ちゃん。
サラ:何かしら?
コロボ:僕も料理、見てていい?
サラ:ええ、もちろんよ。じゃあ、一緒に料理しましょうか。すごいもの作ってパパをびっくりさせましょう。
ーーーーー
ーーイーラとコロボが話してるところへ戻る
ーーーーー
イーラ:へー・・・コロボはママのこと好きだったんだ。
コロボ:え?・・・うん。
イーラ:どこが好きだったの?
コロボ:えっと、いつも優しかったし、強くて、かっこいい呪術師だったから・・・かな。
イーラ:へー・・・いいなぁ。
コロボ:い、いいかな?
イーラ:うん!私もね、ヴェルと冒険しながら、ママのお話を聞いたんだけどね。
コロボ:うん。
イーラ:そういうとき、ママはすごい人だったんだなぁって思ってね、なんだか嬉しいの。
コロボ:へー、すごい人、かぁ。
イーラ:そう!会ったことがないのは寂しいんだけど、それでも、とっても嬉しいの。
コロボ:そっか、母ちゃんがすごい人で、嬉しい、、、嬉しい、か。
イーラ:うん!
コロボ:・・・うん。
イーラ:あ、ねえねえ。
コロボ:なに?
イーラ:その、耳とか口についてる銀色のそれは何?
コロボ:あ?・・・あぁ、ピアスって言うんだ。
イーラ:ぴあす?
コロボ:そう。
イーラ:ぴあすは耳につけるんじゃないの?私のお友達のお姉さんもつけてたんだけど、ちょっと、違う・・・?
コロボ:あー・・・えっと、こんなにつけてる人は少ないんじゃないかな。
イーラ:うん、見たことないから、なんだろーなーって思ってた!
コロボ:えっと・・・僕は、呪術師でね。
イーラ:うん。
コロボ:体に傷をつけると、呪いの力が強くなる気がするんだ。なんだろう・・・。変な言葉だけど、満たされるような、うん・・・。
イーラ:へえー、なんでそう思うの?
コロボ:なんだろう。僕は、今見ての通り奴隷だけど、母ちゃんも父ちゃんも、魔王軍の兵士で、母ちゃんは特にえらい人だった。
イーラ:うんうん。
コロボ:僕も立派にならなきゃって思うんだけど、なんだか、今の自分がすごい・・・。なんだろうなー・・・あ、いや、ごめん。
イーラ:うん?
コロボ:なんでもない、イーラがつまんないかなって。
イーラ:え?そんなことないよ!うーん・・・わかんないけど、私はー
コロボ:わたしは?
イーラ:私と1つしか歳が変わらないのに、一人でこうやって旅してて、かっこいいなって思うよ!
コロボ:え?・・・(ちょっと顔をかいて)・・・そうかな・・・。
ーーーーー
ーービビアンとヴェルが会話する。
ーーーーー
ヴェル:ビビアンよ。
ビビアン:どうしましたか、客人。
ヴェル:ふむ。一つ気になることがあったのでな。今、良いか。
ビビアン:構いません。私も様子を見ながら休んでいるだけですから。
ヴェル:ふむ。この宿場には頻繁に野盗が現れるのか。
ビビアン:・・・そうですね。道程の中継地点で、多くの商人がこちらで停泊します。その分、増えます。
ヴェル:そうか。
ビビアン:ただ、宿場の大きさや、こうやって宿の近くで兵が駐屯できる広場があります。守る方としても都合がよい場なんです。
ヴェル:ふむ。
ビビアン:他の小さな宿場や森に隣接した宿だと、どのような形で奇襲を受けるか、わからないですから。
ヴェル:そうか。
ビビアン:何か、あったんですか?
ヴェル:ふむ。あった、といえばあったが。
ビビアン:・・・?どういうことですか?
ヴェル:人攫いの類なのでは、と思っている。
ビビアン:はぁ。
ヴェル:昨晩か、その前か。
ビビアン:なにか、気配を感じたということですか?
ヴェル:そうだ。
ビビアン:で、あなたはそれを感じながら、一緒にいた娘を一人にしているのですか?
ヴェル:ふむ。
ビビアン:心配ではないんですか?
ヴェル:・・・時に、私なくとも、多くのことを感じ、学ぶ機会があれば。と思うこともあるのだ。
ビビアン:ふ・・・ははは、ヴォルカス、なんだか雰囲気が変わりましたか?
ヴェル:ほう。どのように変わったのだ。
ビビアン:・・・賢者にでもなったつもりですか?
ヴェル:・・・わからん。ただ。
ビビアン:ただ?
ヴェル:よからぬことに手を出すイーラを、とても心配しておる。
ビビアン:で、気紛らわせのために、私に話をしにきたと、そういうことですか?
ヴェル:そうだ。一応だが、旧知の仲なのでな。
ビビアン:ぷく・・・はっはっは!(大笑う)
ヴェル:・・・。
ビビアン:(ひとしきり笑って)はー・・・あなたは、そうですね、なんだか腑抜けた父親のようなことを言いますね。
ヴェル:・・・ほう。
ビビアン:まぁ、間違ってはいないのでしょう。あの娘、イーラと言いましたか、よく人になっていますが、あなたの子ですね。
ヴェル:・・・そうだ。
ビビアン:面白いことがあるものです。十数年もの間、剣を交えて争った、それこそ私にとっては最も憎むべき者が。その者がですよ。
ヴェル:ふむ。
ビビアン:久しく会ったと思ったら、なんとまぁ。
ヴェル:・・・何か、期待外れだったか。
ビビアン:いいえ、元々何も期待なんてしてません。いえ・・・一つ聞いて良いですか?
ヴェル:かまわん。
ビビアン:オレンドという演者も、あなたに近い魔族だった者でしょう?
ヴェル:そうだ。
ビビアン:どの魔族かは、思い出せませんが、私があの者と親しくしているのも、何か、そうですね。
ヴェル:情、か。
ビビアン:・・・そうです。情です。この平和な世に、私のような、いえ、あなたもそうですが、人に背負えぬ力をもった者は要りません。
ヴェル:ふむ。
ビビアン:お師様もそうです。この世界を動かすのは、「ただ強い個人」ではない、と教えられています。
ヴェル:そうか。なぜか、を聞いても良いか。
ビビアン:・・・わかりません。
ヴェル:ふむ。
ビビアン:そうですね。話を戻すと、穏やかに流れるこの平和な世界で感じる孤独と、もう振るう剣はないのでしょう、と思う寂しさから生まれる、過ぎた時代を生きたもの同士の情だと思います。
ヴェル:そうか。
ビビアン:・・・いいでしょう。しばらく、中身のない昔話に花でも咲かせることにしますか。
ヴェル:ありがとう。感謝する。
ーーーーー
ーーコロボとイーラが歩いていると、人の家の近くで話しかけられる。
ーーーーー
宿場の女性:あの・・・すみません・・・。
コロボ:え!あ・・・はい。僕、ですか?
宿場の女性:あ、そうです。えっとー・・・二人とも、商人さん・・・ですか?
イーラ:え?えっとー・・・
コロボ:そうです。
宿場の女性:へえー・・・若いのにお仕事して、すごいですね。
コロボ:え、それほどでもない、です。
イーラ:えへへ・・・!
コロボ:え?なんでイーラが喜んでんの?
イーラ:え?うーん。なんか、嬉しいなぁって。
宿場の女性:仲がいいのね。でー・・・えっとー・・・
イーラ:・・・?何か、困ってるんですか?
宿場の女性:んー、知ってたら、でいいんですけど・・・。
コロボ:はい。
宿場の女性:この写真の女の子を見かけませんでしたか・・・?
イーラ:え・・・?えっとー・・・どうしたんですか?
宿場の女性:実は、昨晩から帰ってきてなくて、、、こちらへ来る途中で、とか・・・。
コロボ:そうなんですか。あー・・・えっと・・・
イーラ:えっと・・・見かけて、ないです。
コロボ:僕も、見かけてません。
宿場の女性:そう。そうですよね、ごめんなさいね。ありがとうございます。
コロボ:あっちに神兵団がいるので・・・その人たちなら・・・
宿場の女性:ありがとうございます。あでも・・・もう・・・
コロボ:そう、ですよね。ごめんなさい。
宿場の女性:あっ、いいのよ、なんか、こちらこそごめんなさいね。じゃ、じゃあ、狭い宿場ですけど、ゆっくりしていってくださいね。
イーラ:・・・
コロボ:・・・あ、あの!!
宿場の女性:え?
コロボ:その子が使っていたものとか、今、持ってませんか?
宿場の女性:え、えっと・・・この髪留め、、、とかなら・・・(自分につけていた髪留めを外して)これとかなら・・・(渡す)
コロボ:(受け取って)・・・
イーラ:コロボ、どうしたの?
コロボ:ちょっと、まって・・・。(その子の気配を探るように)・・・うん。ありがとうございます。
宿場の女性:何か・・・わかるのかしら?
コロボ:あ・・・えっと・・・ごめんなさい、急に変なことをお願いして。えっと・・・わかりません。
イーラ:どうしたの?
コロボ:僕は、、、呪術、、、いや、霊視が少しだけできるので・・・
宿場の女性:そ、そうなんですか?
コロボ:あ、でも・・・わかりませんでした・・・ごめんなさい・・・。
宿場の女性:あ・・・ううん、そうですか・・・
コロボ:えっと・・・これ(髪留めを手渡す)
宿場の女性:あ、ありがとうございます。・・・じゃあ・・・
コロボ:変な期待をさせてしまって・・・ごめんなさい。
宿場の女性:ああ、うん、い、いいのよ。もともと見つからないかもって・・・思って、ましたから。。。じゃあ、私はこれで・・・。
イーラ:は、はい。。。
コロボ:・・・
イーラ:・・・
コロボ:・・・ちょっと、だけ・・・
イーラ:ん?
コロボ:ちょっとだけなんだけど・・・なんだろう・・・
イーラ:どうしたの?
コロボ:ちょっとだけ、感じるんだ・・・。
イーラ:何を感じるの?
コロボ:あの子はまだ生きてて、近くに、多分・・・崖の下。崖から落とされた亡くなった人たちが、、、近くにいる。
イーラ:え!わかるの?
コロボ:うん・・・けど、ここから少し遠いし・・・僕の力じゃ・・・場所がわからない・・・。
イーラ:・・・そ、そっか・・・。
コロボ:・・・
イーラ:ヴェ、ヴェルに相談したら・・・!
コロボ:いや、でも・・・僕は・・・人の奴隷だから・・・人を助けるような・・・
イーラ:あ・・・そっか。。。
コロボ:・・・
イーラ:・・・ね、ねぇ。
コロボ:なに?
イーラ:ちょっとだけ、離れた場所にいかない?
コロボ:え?・・・う、うん。
ーーーーー
ーービビアンとヴェルが話している。
ーーーーー
ビビアン:そうですか。オレンドという者は、傀儡師だったんですね。
ヴェル:ふむ。そうだ。
ビビアン:私たちが姿を知らなかったのは、そのためですか。
ヴェル:そうだ。戦の中では、戦艦であったり、戦車であったり、時に鳥や獣として暴れておった。
ビビアン:はっはっは!とんでもない男だったんですね。確かに、私は恐らくオレンドと呼ばれる者と手合わせした記憶があります。
ヴェル:ふむ。
ビビアン:今になってその正体がわかりました。私たち人の軍は、名前だけを知っていましたが、手に余る魔族でした。
ヴェル:そうか。後日会ったら、伝えてやってくれ。
ビビアン:今は何も覚えていないのでは?
ヴェル:先日、記憶が戻ったそうだ。
ビビアン:そうですか。では、次に会った時は昔話でもすることにします。楽しみが一つ増えました。
ヴェル:ふむ。
ビビアン:他には、サラ、という魔族はどのような者だったのですか。
ヴェル:サラ・・・か。
ビビアン:その者とは、顔をあわせたことがありません。存在するのかすら、私達からはわかりませんでした。
ヴェル:サラは魔王城を守る・・・そうだな、私の右腕のような者であったか・・・
ーーーーー
ーーサラとヴォルカスの出会い。戦場にてサラとヴォルカスが会話する。
ーーーーー
サラ:魔王、いかがですか。私の術は。
ヴェル:見事な死人兵団だな。
サラ:そうでしょう。
ヴェル:ふむ。確かに、この戦ではそなたの参戦が勝因となった。認めよう。圧巻だな。
サラ:当然です。
ヴェル:よもや、軍に属さぬ呪術師でここまで力がある者がおるとは。千を超える死人を扱えるか、と驚いておる。
サラ:・・・ふ。どうでしょう、魔王、この術が魔族軍に必要では。
ヴェル:・・・ほう。呪術師の女(おなご)よ、なぜそのように考える。
サラ:死人兵のみならず、この呪術の力が軍の大きな戦力になることは当然です、が・・・
ヴェル:ふむ。
サラ:魔族の兵は今でこそ人に対して優勢です。ですが、人の武装は日々進歩しています。
ヴェル:そうだな。
サラ:それに比べて魔族の進歩はなく、ただ力任せに争っているだけです。違いますか?
ヴェル:・・・続けよ。
サラ:死人が所持しているものだけでなく、知識、つまり、人の技術すら私のこの術は盗むことができます。死人を用いて、戦力、のみならず魔族軍の武装や生産にも役に立つことでしょう。
ヴェル:そうだな。認めよう。
サラ:ふ、そうでしょう。では、どうでしょうか魔王。私を魔王軍に雇っては。当然、その分の立場はお約束していただきますが。
ヴェル:ふむ・・・して、そなたは呪術師の長ではないな?
サラ:えぇ。
ヴェル:それだけの力がありながら、なぜ長とならんのだ。
サラ:簡単です。龍や悪魔の使いっ走りとしてこそこそしている、今の族の立ち振る舞いを私は心底愚かだと思っています。
ヴェル:ほう。
サラ:古い世代の堅物たちが、今に全て消えるというのなら、私は喜んで長になりますが、そうはいきませんので。
ヴェル:それで、私に直(じか)に、か。
サラ:えぇ。どうやら、魔王は族の老ぼれ共より幾分か柔軟な考えを持っているようなので。
ヴェル:では、聞くが、そなたはこの戦いで何を守りたいのだ。
サラ:何を言ってるんですか?守りたい?そんなものはありません。私は、この私の力が確かなものであることを、知らしめたいだけですから。
ヴェル:ふむ。実直(じっちょく)だな。呪術師の女(おなご)よ。
サラ:当然です。隠す必要がないので。
ヴェル:ふむ。私は、ヴォルカスという。そなたは。
サラ:私は、サラ。サラ ジャガノートです。
ヴェル:ほう。そなたにあった良い名である。
サラ:・・・?
ヴェル:神の如く強き力をもった女帝、という意味である。
サラ:・・・へぇ、そうですか。自分の名について考えたことはありませんでした。
ヴェル:そうか。
サラ:で、私を雇う話はどうなったんですか。話を逸らされるのは、不愉快です。
ヴェル:ほう。では、サラよ。私にそなたの力は要らぬ。
サラ:・・・!?
ヴェル:私は、私たちは、何かを守るために、この命をかけて、戦っておる。
サラ:お言葉ですが。では、なぜこんなに魔王軍は愚かなんでしょうか。今に人の進歩に追いつかれ、敗北することが目に見えている状況を、放置して、何が命をかけている、ですか。
ヴェル:ふむ。では、その争いの先にそなたは何を見るのだ。
サラ:はぁ、逆に聞きますが、勝たなければ意味などないですよね?
ヴェル:たとえ負けたとて、いずれ訪れる。術を使うこともなくなる平和の世で、そなたは何をかてとして生きるのだ。
サラ:それは・・・なるほど。
ヴェル:・・・ふむ。
サラ:魔王、それが、あなたの考えですか。
ヴェル:そうだ。・・・して、また来ると良い。城の者には話しておく、いつでもそなたを歓迎する。
サラ:・・・なぜ。なぜ私にその門を開くんですか。
ヴェル:サラよ、私はそなたを気に入った。それだけである。
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ーーイーラとコロボが街から離れたところで会話している
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ビビアン:へぇ、そのサラという魔族は、相当な手練(てだれ)だったんですね。
ヴェル:そうだ。おそらく、私の近衛の中で最も優れた者であった
ビビアン:そうですか。では、なぜ、そのサラという魔族は、少なくとも終戦間際は一度も顔を出さなかったんですか。
ヴェル:ふむ。・・・すまぬ、ビビアンよ。
ビビアン:どうしましたか?
ヴェル:私は行かねばならぬ。
ビビアン:え?
ヴェル:私の心中を察し、語らってくれたこと、感謝しておる。では。
ビビアン:あ、ちょっと、急にどうしたんですか!
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ーーイーラとコロボが街から離れたところで会話している
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イーラ:ここら辺でいいかな?
コロボ:け・・・結構離れたけど、大丈夫かな・・・?
イーラ:うん!
コロボ:ぼ、僕も・・・ほら仕事とかあるし・・・それにあんまり離れると危ないかもしれないし・・・
イーラ:あ、あー・・・大丈夫!その時はコロボが守ってくれればー・・・
コロボ:・・・日も落ち始めてるよ・・・危ないよ・・・
イーラ:い、いいの!・・・でね!でね!
コロボ:な、何?
イーラ:私の気をコロボにあげるから・・・そしたらもしかしたらと思って!
コロボ:・・・へ?気を、あげる?
イーラ:そう!
コロボ:イーラは、魔素が使えるの?人間じゃないの?
イーラ:えっと・・・ま、魔素かわからないんだけど・・・
コロボ:へ?
イーラ:ちょ、ちょっと待てね・・・えっと、久しぶりだから・・・んーーーーー・・・
コロボ:・・・(イーラから多量の魔素が流れ出して驚く)・・・へ?・・・イー・・・ラ・・・?
イーラ:(大きく息を吸う)
コロボ:なに・・・これ・・・あ、、、暖かい・・・
イーラ:・・・ふぅー。
コロボ:・・・い、イーラ?
イーラ:ん?なに?コロボ。
コロボ:イーラは・・・その・・・誰なの?
イーラ:え?えっとー・・・私はー・・・半魔・・・かな?イーラ ディアブロ リュウール ドレっていうの。・・・えへへ・・・ママがつけれくれた名前。
コロボ:そうなんだ・・・そう、そうです・・・か。
イーラ:うん!
コロボ:ぼ、僕は、コロボ ジャガノートって言います。
イーラ:そっか!いい名前だね!
コロボ:・・・はい。
イーラ:・・・?・・・どうして急に敬語なの?
コロボ:あ、いえ・・・。
イーラ:・・・えへへ、まいっか!さてー・・・
コロボ:何をするん、ですか?
イーラ:えっと・・・私の気をコロボに・・・ちょ、ちょっと待ってね。・・・手かして・・・
コロボ:あ、うん。(手を出す)
イーラ:・・・えへへ。つなぐね。(手を握って)・・・(集中するように大きく、息を吸って)
コロボ:あ・・・うん・・・
イーラ:(集中するように大きく、息を吸って)・・・どう?
コロボ:すごい・・・。
イーラ:そうなんだ。あんまりやったことないから、わかんないんだけど・・・えへへ・・・。
コロボ:やっぱり・・・暖かい・・・!?か、母ちゃん?
イーラ:え?私はコロボのママじゃないよ?
コロボ:あ、いや・・・ごめん。
イーラ:これなら、遠くの女の子もはっきりわかる?
コロボ:うん、わかる・・・。えっと、近くに亡骸もあるから・・・死人を使える・・・かも。
イーラ:え?女の子を死人に運んでもらうの?
コロボ:・・・あ、あはは。そうなるね。
イーラ:え、えへへ。まぁいっか。・・・コロボ、お願い。
コロボ:うん・・・。(大きく息を吸って集中する)
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ーーしばらくしてからビビアンとヴェルが合流して
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ヴェル:して、イーラよ。
イーラ:うー・・・
コロボ:ご、ごめんなさい・・・。
ヴェル:・・・ふむ、かまわん。
イーラ:ヴェル・・・お、怒ってる?
ヴェル:怒ってはおらん。が、イーラよ、不注意だ。
イーラ:は、、、はい。
コロボ:僕が・・・僕が・・・
ヴェル:続けよ。
コロボ:術が弱く、遠くまで届かなかった、、、です。
ヴェル:ほう。
コロボ:イーラ、さん、が助けてくれました・・・。
ヴェル:そうか。では、イーラよ。
イーラ:は、はい。
ヴェル:なぜ私に言わぬか。
イーラ:い・・・だ、だって・・・
ヴェル:ふむ。
イーラ:・・・
コロボ:僕が、僕が反対しました!
ヴェル:ほう。
コロボ:僕が・・・人の奴隷だから、人を助けるのを反対しました。それで・・・イーラさんが僕を説得してくれて・・・
イーラ:ち、違うの!私が・・・えっと・・・
ヴェル:わかった。私は怒っているわけではない。
コロボ:・・・え?
ヴェル:私は心配しておる。二人になにかあってしまうのを恐れている。
イーラ:・・・ヴェル・・・
ヴェル:何かあれば、私が二人の言葉を聞き届けよう。安心して相談に来ると良い。それと、イーラ、よ。
イーラ:えっ・・・な、なに!?
ヴェル:そなたは優しい心をもっておる。私は・・・そうだな・・・とても嬉しいと思っている。
イーラ:え・・・?あ・・・にへへ。
ヴェル:コロボも、そなたの葛藤に負けず、よく働いておる。
コロボ:あ・・・ありがとう、ございます。
ヴェル:ふむ。してめんどうをすまなかった。ビビアンよ。
ビビアン:まったくです。(周りの兵士に向かって)ご苦労様でした。取り逃した者は追わなくていいです。いずれ散開すると思いますので。では、休息に戻っていただいてかまいません。・・・で、客人、これはどういうことですか。
コロボ:ひっ
イーラ:び、びびあん、怒ってる・・・こわい・・・
ヴェル:ふむ。
ビビアン:急に飛び出したと思えば、宿場中の警報機は鳴り響き、挙句、子供達が族に囲まれているではないですか。
ヴェル:そうだな。
ビビアン:そして、あなたが先に駆けつけたためか、族の一部を逃がしてしまいましたし。それと後始末です。兵師団はこの騒ぎをおさめるために駆けずり回りました。私たちの束の間の休息は、宿場へのお詫びは、他の客人への釈明は、誰の仕事ですかね。
ヴェル:ふむ。。。すまなかった。
ビビアン:何より腹が立つのは、わかっていましたよね?あなたは。
ヴェル:そ、そうだ。
ビビアン:それを事前に防がずに、子供たちを自由にさせておきたいからですか?親バカにも程があります。
ヴェル:迷惑をかけたこと、すまないと思っている。
ビビアン:本当に、いい迷惑でした。ありがとうございます。
ヴェル:す、すまない。
ビビアン:あと、言い忘れていました。コロボさん、イーラさん。
コロボ:は、はい!
イーラ:はい!
ビビアン:行方がわからなくなっていた娘さんですが、少し外れた山道で見つかった、と団員より報告がありました。族から守るように死人兵が戦っていたとのことです。・・・今回は多めに見て、大ごとにはしませんが、こう言ったことを行う際は、必ず、私たち神兵団の許可を取ること。いいですね。
コロボ:は・・・・はい!
ビビアン:返事が聞こえませんが、イーラさん、あなたも同じです。
イーラ:は・・・はい!
ビビアン:(ヴェルに向けて)では、ヴェルさん、今はその顔を見ていると気分が悪くなりますので、これで失礼します。それと、出発まで、必ず、大人しくしていてくださいね。必ず。
ヴェル:・・・約束しよう。
ビビアン:よろしい。では、失礼いたします。
ヴェル:・・・
イーラ:・・・
コロボ:・・・
イーラ:ヴェル、怒られたの?
ヴェル:・・・そうだ。
コロボ:こ、怖かった・・・です、ね。
ヴェル:・・・うむ。
イーラ:(ちょっと笑って)・・・ヴェルも私たちと一緒だね・・・にへへ。
ヴェル:・・・ふむ。
ーーーーー
ーーただ君だけを、守りたいと願う〜同齢〜