演じるにあたって
2.主要キャラクターのイメージはサイトTOPよりご覧いただけます。
3.()は漢字の読み方、または、キャラクターセリフ中の動作を表現します。
4.ーーXXX は状況や動作を表現するト書きです。
5.ーーーーー はシーン転換や間を開けることを意味します。
元魔王 旅人 年齢:数千歳
神兵騎士 年齢:20歳前後
神兵騎士 年齢:30歳前後
イーラと同じ村に住む子供 年齢:6歳前後
魔王の娘 年齢:11
魅了術が得意な上級悪魔の族長。性的な魅力を持った悪魔。
神兵騎士 年齢:20歳前後
イーラと同じ村に住む女性 年齢:20歳前後
神兵団筆頭騎士 神の力 年齢:46歳(体は20歳前後)
元上流市民の老婆 イーラの祖母 年齢:63歳
龍人族の長。魔王群の中で人に化けることができる龍の上級魔族。温厚な性格をしている。
イーラと同じ村に住む子供 年齢:6歳前後
金と権力の神 年齢:数万数千歳
イーラと同じ街に住む町の貴族兵。 年齢:二十歳前後
低級悪魔の代表。数や種族が多いが、力はない。
イーラと同じ村に住む男性 年齢:20歳前後
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ーー神前試合の開始挨拶をギルディが宣誓台から行う
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ギルディ:叡智なる子等よ!今年もよく、この海際の地、バルミスまで訪れた。皆、ご苦労であった。今日の催しが快晴の下(もと)で行えること、余は全く運が良い。
ギルディ:(咳払いをして)この10年、子等がよく発展に努めること、誇りに思うている。大戦制勝より、易々と過ごせるものではなかっただろう。時に貧しさに苦労する者、時に命の重みに心病んだ者、おるかもしれん。が、この場所に多くの子等が訪れ、前に進もうとしておることを、余の全てで感じておる!
ギルディ:まずは、今日ここへ訪れた子等よ、貴様等の今、今この時、己が道で精進を続けておること、なんと素晴らしいことか!
ギルディ:そして、今日この闘技場で競い合う子等よ、己が持つ力を出し切って、競い合うが良い!全ての試合、しかと、この目に納めよう。がっはっは!余に、己等の全てを見せつけてみよ!
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ーー宣誓台から移動しながらビビアンと話す
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ビビアン:お見事な口上でした。お師様。
ギルディ:がっはっは!よい。才があるわけではない。
ビビアン:とんでもありません。どうぞ、こちらへ。
ギルディ:イーラはどこにおるか。
ビビアン:お師様の隣に、席を儲けてます。・・・こちらに。
ギルディ:おぉ。調子はどうだか、イーラ。
イーラ:あ・・・あの・・・
ギルディ:どうだ、特等席にかけている気分は。
イーラ:ちょ、ちょっと・・・恥ずかしいです。
ギルディ:そうかそうか。がっはっは!よーく似合っておる。
イーラ:ありがとう、ございます。
ビビアン:では、私は選手控室で、試合に備えますので。
イーラ:あ、が、頑張ってください!
ビビアン:ありがとうございます。・・・そうでした、お師様。
ギルディ:ぬぅ?
ビビアン:あの後、イーラさんは一度も泣かず、今日に向けて備えてくださいました。私の勝ち負けに関わらず、一度はヴォルカスに顔合わせをさせても良いですか。
ギルディ:がっはっは!かまわん!よく耐えた、のう。
イーラ:あ、ありがとうございます。
ギルディ:聞こえるか。余の横におる美女はどこの誰ぞ、噂する声が其処彼処(そこかしこ)から聞こえてくる。
イーラ:え、えっと・・・
ギルディ:照れるか?
イーラ:はい・・・。
ギルディ:よい。・・・嬉しいか?ヴォルカスに見せたいか?
イーラ:は、はい!
ギルディ:イーラは、ヴォルカスが好きか?
イーラ:はい!好きです!
ギルディ:がっはっは!そうかそうか。10年の催しにふさわしい初日になる、のう。イーラは、ヴォルカスの奈落のような眼を見たことがあるか。
イーラ:ならく・・・?って何?
ギルディ:知らぬか。大戦の最後、あの男はそこ無しの穴のような、一筋の光もない眼をしておった、のう。
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ーー空で戦う、ヴェル、龍人族長、ギルディ、航空砲台操舵士(女)
ーー地上で戦う、悪魔族長、淫魔族長、ビビアン、神兵騎士(男)
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ヴェル:(空から)引くのだ!!!人共!!(戦場各所で爆発を起こす)
ビビアン:魔王の攻撃に触れてはなりません!かするだけで身体を持っていかれますよ!
ヴェル:散れえ!
ビビアン:魔導シールドを全出力で展開しなさい!出し惜しみをするな!
ヴェル:龍人!!
龍人族長:お呼びですかのう!
ヴェル:敵の航空砲台を頼む。
龍人族長:任されました。族の者よ、これが最後の戦いかもしれんのう。至高なるわらわ等が命を燃やすのじゃ・・・かぁぁ!!・・・ごおおおおおおおお!(龍になる)
ヴェル:感謝する!!
ビビアン:空から来ます!全ての魔導防壁を展開しなさい!
ヴェル:いつまで持つかああ!!
ビビアン:っく・・・!まだ、陸地にはつけられませんか!
神兵騎士(男):ビビアン様!ただいま、魔大陸へ戦艦をつけました!!
ビビアン:やっとですか。では、下からも攻め込みましょう。
神兵騎士(男):はっ!
ビビアン:騎士隊!ついてきなさい!!
ヴェル:悪魔よ!!
悪魔族長:こちらに!
ヴェル:敵騎士を頼む!
悪魔族長:任されよ!・・・行くぞ悪魔どもお!俺たち魔族の力みせてやれええ!人間ども全員食い殺す!!!・・・ごあああああああ!
ビビアン:悪魔が来ます!全隊、構えなさい!
ギルディ:がっはっはっは!ゆけ、ゆけええ!叡智なる子等よ!!(空に浮くギルディ)
ヴェル:ギルディか・・・!
龍人族長:魔王様には、わらわが近づけさせませぬ!
ギルディ:達者よ、のう。
龍人族長:落ちなさい!人族の老師!かぁあああああ!(火を吐いて)
ギルディ:がっはっは。龍の息吹とはこの程か、のう。(手で止めようとする)
ヴェル:その余裕がいつまで持つか、ここは戦地であるぞ!!(火に紛れて魔導弾を飛ばす)
ギルディ:おぉっと(避けて)血の気の多いことだか。
龍人族長:叩きます!
ヴェル:・・!?まて!
ギルディ:ぬぅ?砲兵よ。
航空砲台操舵士(女):っは!第一隊、打てー!
龍人族長:砲撃!?ああぁああ!
ヴェル:させん!!・・・ふん!(防御壁展開)
龍人族長:魔王様!
ヴェル:私の仲間に、その程度の攻撃で、傷をつけることができると・・・思うでない!!(防ぎ切る)
航空砲台操舵士(女):第二隊、砲撃用意ー!
ギルディ:どこまで持つか、のう。ヴォルカス。
航空砲台操舵士(女):第二隊、打てー!
龍人族長:休む隙もなしかのう、族の者共!わらわは魔王様と戦う。皆、霧散し、砲台を落とすのじゃ!
悪魔族長(男):ぐうううう!・・・
ビビアン:いい加減、引いたらどうですか?ふん!!
悪魔族長(男):がああああ・・・まだまだだ!
ビビアン:・・・再生しますか。
神兵騎士(男):ビ、ビビアン様ー!ああぁああ!と、とまれえええ!(ビビアンに斬りかかる)
ビビアン:・・っく!!何事ですか!
淫魔族長:うふふふふ。貸しひとつね。
悪魔族長:ふん。やっときやがったか。
ビビアン:魅了・・・ですか。全隊!!敵は淫魔です!心を落ち着けなさい!
悪魔族長:悪魔どもよ!今が好機だ!つぶせー!
淫魔族長:うっふふふふ。・・・さぁ、踊りなさい。
ビビアン:興奮して斬りかかれば敵の思う壺です!!
神兵騎士(男):あ、あぁああ!(蹴飛ばされて)うっ!・・・がは!
悪魔族長:こちらから行くぜえ!
ビビアン:っく・・・、全く、これだから魔族は嫌いです。
悪魔族長:余裕!(腕を振って)
悪魔族長:・・・ぶってんじゃ!(腕を振って)
悪魔族長:・・・ねえ!!(腕を振って)
悪魔族長:・・・っち、ちょこまかと!
淫魔族長:はっやっくー!潰しちゃいなよー。うふふ。
神兵騎士(男):ビビアンさまー、あぁああ!身体がー!
ビビアン:落ち着きなさい!まったく・・・仕方ありませんね。
悪魔族長:あん?
ビビアン:私は、神兵団筆頭騎士ビビアン シュバリエ セブです。
淫魔族長:うっふふ。急にどうしちゃったのかしらぁ?
ヴェル:悪魔、淫魔よ!!下がれ!!
悪魔族長:へ?ヴォ、ヴォルカス様!?
淫魔族長:ちょ、ちょっと!何あれ!
ビビアン:神を守護する騎士の名の下に、お師様、そのお力をお借りします!・・・かぁぁぁぁああああああああ!!
ビビアン:・・・首を
淫魔族長:ま、ちょっと!
ビビアン::刎ねます!!(神速で魔を詰める)
ヴェル:させん!!止まるのだ!!
ーー淫魔とビビアンの間で爆発が起こる
悪魔族長:うおあああ!・・・
淫魔族長:た、助かりましたわ。
ビビアン:・・・ヴォルカス・・・邪魔を・・・。
ギルディ:(ヴォルカスに詰め寄って)よそ見とは、余裕がある、のう。
ヴェル:ギルディ!
龍人族長:寄るでない!じじい!(尻尾で叩こうとして掴まれる)・・・っく!
ギルディ:美しいのう、龍人の女よ。・・・(力をいれて)痛いか?
龍人族長:あぁああああ!こ、この怪力じじい!離すのじゃ!!
ヴェル:離せ!
ギルディ:おぉと。がっはっは!もうちぃと握っておきたかったのう。
ビビアン:全隊!気を取り直しなさい。反撃に出ますよ!
神兵騎士(男):っは!!
ギルディ:そうだ・・・ヴォルカス、よ。
ヴェル:・・・なんだ。
ギルディ:帰りたい、のだったか?
ヴェル:・・・!?
ギルディ:おぉ?意味深な目をしおって。がっはっは!貴様には、待ち人がおったか!
ヴェル:貴様・・・それより口を開いてみよ・・・消しとばしてくれる。
ギルディ:かまわん、消し飛ばせるのならば、のう。
ーーーーー
ーー剣闘大会で試合の決着がついた
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審判:そこまで!!勝者、神兵騎士団第三師団長ヨーゼフ シュバリエ サタ!互いに、礼!
ーーーーー
ーーイーラとギルディの会話
ーーーーー
イーラ:わぁ・・・凄かったですね!
ギルディ:そうじゃろう。がっはっは!どの子等もよく鍛錬を積んでいる。
イーラ:いっぱい練習してるんですね・・・
ギルディ:そうだ。
イーラ:・・・すごいですね・・・。
ギルディ:イーラは何か得意なことはないのか、のう。
イーラ:え・・・えっと、、、
ギルディ:旅に出たのは最近なのだろう?ならば、友達と何かをやったりはしておらんかったのか。
イーラ:え?と、友達は・・・その、あんまりいませんでした。
ギルディ:そうか。魔素の扱いか?
イーラ:は、はい。そうです。気味悪がられちゃうんです。
ギルディ:がっはっは!今は立派に扱えておる。そうだそうだ、イーラ。
イーラ:はい?
ギルディ:こんなじじいでよければ、友達になってくれんか、の。
イーラ:い、いいんですか?
ギルディ:がっはっは!かまわん。暫しの休憩時間だ、イーラの話を聞かせてくれんかのう。
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ーーイーラ(6歳)とエリスの会話
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エリス:イーラ、急いで、押し入れに隠れていなさい。
イーラ:ご、ごめんなさい!ばあば!
エリス:ふふ、大丈夫だから。心配しないで。
イーラ:う、うん・・・!
貴族兵:(家をノックして)すみません、すみませーん。
エリス:あ、はいはい。今行きます。・・・どうされましたか。外でサイレンの音が鳴ってましたが・・・
貴族兵:あ、どうも。そうなんです。この辺りで魔素の使用が感知されたので、見回りに来ました。
エリス:それはそれは。ご苦労様です。
貴族兵:ありがとうございます。
エリス:何か見つかりましたか?
貴族兵:いえ、まだ何も。特に周辺の家屋などが壊された様子などもないのですが・・・
エリス:そうですか。それは、安心ですかねえ?
貴族兵:そうなのですが、最近はこの辺りでよく魔素が感知されます。
エリス:そうですね。物騒ですねぇ。
貴族兵:えっと・・・疑うわけではないのですが・・・何か、ご存知ありませんか?
エリス:え?そうですねぇ・・・んー・・・わかりませんねぇ。
貴族兵:そうですか。わかりました。ご協力感謝します。まだ、魔族が近くにいるかもしれませんので、しばらく家から出ないよう、お願いします。
エリス:はい、わかりました。ありがとうございます。
貴族兵:はい。では。
エリス:・・・イーラや。もう大丈夫さね。
イーラ:・・・いったの?
エリス:はい、いきましたよ。
イーラ:ご・・・ごめんなさい。
エリス:大丈夫。イーラが悪いわけではないのよ。イーラは、何も悪いことはしてないわ。
イーラ:(ぐずりながら)う・・・ばあば、ごめんね、いっつも・・・いっつも・・・ごめんなさい・・・。
エリス:大丈夫、大丈夫よ。よしよし、イーラ。
イーラ:(ぐずりながら)う・・・ばあば、ごめんなさい・・・。
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審判:そこまで!!勝者、アキュエリ神殿守衛長オード ラ ドラクロワ!互いに、礼!
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ーーイーラ8歳、隣人の会話
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隣人(女):エリスさんのところ、魔族を匿っている噂よ。
隣人(男):たまに警報機がなるのって、それ?
隣人(女):そう。なんか、娘さんもいないのに、いつの間に、お孫さんが・・・
隣人(男):そうそう。見かけない男から赤子を受け取ってましたよ、そういえば。
隣人(女):何それ、エリスさん、君悪いですね・・・
隣人(男):娘さんも、なんか魔大陸へ行ったきり、帰ってこないとか・・・
隣人(女):魔族の手先とか?
隣人(男):ほんとに。なんかちょっとここら辺、離れた方がよいですかね・・・
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ーーイーラ8歳、エリスとイーラ、家にて。
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エリス:イーラや、ほら見てごらん、とてもいい天気よ。
イーラ:ほんとだ。あったかくなってきたねー!
エリス:イーラもたまには、外にでたらどうですか?
イーラ:・・・いや。
エリス:大丈夫さね。またサイレンを鳴らしちゃっても、ばあばがなんとかするから。
イーラ:・・・いーやー。またばあばが酷い目にあうのやだもん!
エリス:ふふふ。イーラは優しいのね。あのくらい平気よ。ばあばはこう見えて、強いのよ。
イーラ:・・・んーん!大丈夫、いいの!ねっ!今日もご本読んで!
エリス:あらあら、じゃあ、ちょっと洗濯をした後に、読んであげるわね。
イーラ:えへへ・・・やった!
エリス:そうですね、じゃあ、洗濯物だけお手伝いしてくれるかい。
イーラ:え?うん!そのくらいなら・・・
エリス:じゃあ、よいしょっと。行きましょうか。
イーラ:うん・・・(外出て)・・・わぁ!いい天気ー!
エリス:ふふふ、そうね。
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審判:勝負あり!!勝者、神兵団第五師団長サルマン シュバリエ ディラン!互いに、礼!
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ーーイーラ10歳、子供たちとイーラ
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女子:ちょ!ちょっと!こっちこないで!!
イーラ:え、一緒にあそぼーよ!
男子:えー!イーラちゃん、と一緒にいるときばっかりサイレンがなるからやだー!不吉女ー!
イーラ:そ、そんなこと、、、ない!!私、知らない!
女子:ねー!イーラちゃんおいてあっちいこー!
男子:ほんとほんとー!
イーラ:ね、ねぇ!私もいれてよ!!
男子:やーだーよー!
女子:あ!そうだ!
男子:ん?
女子:イーラちゃん、入りたかったら!サイレン鳴らしてみろよー!
男子:あ!それいいー!
イーラ:え。。。な、鳴らせないよ!
男子:じゃあ、いれてあーげない!
女子:あはは!ほら、鳴らしたら入れてあげるよー!
イーラ:私しらないもん!ねぇ!!ひどい、ひどいよ!
男子:あ、な、泣くなよ!
女子:・・・可愛こぶったってだめなんだから、ほら!鳴らしな・・・
女子:さいよ!(髪を引っ張る)
イーラ:いた!!・・・やめて!いたい!
男子:お、おい・・・。
女子:ふん!なによ!ちょっと可愛いからって!ママ言ってたよ?あんたはね、化け物なのよ!
イーラ:やめて、私は化け物じゃない・・・ひどい、やめてよおおお!
ーー近くのサイレンが鳴り始める
男子:げっ!サイレンだ!!・・・逃げろ!
女子:あははは!やっぱり鳴らしてんのあんたじゃないのー?・・・捕まっちゃうー!いこー!
イーラ:(泣きながら)・・・帰らなきゃ・・・ぐす・・ばあばあ、ごめんなさい・・・ばあばー・・・。
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審判:勝負あり!!勝者、神兵団本部師団長セイン シュバリエ カーディア!互いに、礼!
審判:それでは、最終試合の前に、暫し、休憩を設けさせていただきます。十分に時間をとります。お手洗いの場所などがわからない方は、お近くの神兵騎士へお声がけください!!それでは、休憩とします!
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ーーギルディとイーラ
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ギルディ:そろそろか。
イーラ:あ、は、はい。
ギルディ:なるほど、のう。イーラも苦労したのだか。
イーラ:・・・でも、今はヴェルがいますから、不安じゃ、ないです。
ギルディ:がっはっは。そうかそうか。よいよい(がしがしとイーラの頭撫でて)
イーラ:うわわ。
ギルディ:宿命(しゅくめい)を背負う子よ、よく歩んでいる、のう。
イーラ:へ?え・・・私は、人ではない、ですけど・・・?
ギルディ:関係ない。皆、この世界の子等だか。
イーラ:ギルディさんは、人の神様ではないのですか・・・?
ギルディ:がっはっは!神から見て、人も魔族もあるものか。
イーラ:へ?えっと・・・どういうことですか?
ギルディ:さて、のう。己で考えよ。・・・控え室はわかるか。
イーラ:あ、、、は、はい!
ギルディ:ほれ、はようせんと、ヴォルカスが出てきてしまうぞ。
イーラ:は、はい!じゃ、じゃあ、いってきます。
ギルディ:ゆけ。そのとびきりをあの男に見せつけてやらんと、のう、がっはっは!
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ーー最終試合開始
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審判:それでは!お時間となりましたので、本日の神前試合、最終試合を始めます。最終試合の口上は特別に、団長より行わせていただきます!皆様、お席にお着きください!・・・よろしいですね!では、団長、お願いします!
ギルディ:待たせた、のう、子等よ。これより、今年最も優れた騎士を決める闘技をとり行う!・・・が、この時期は暗くなるのが早いのう。まだ夕刻というのに、すっかり暗いのう。これではよく見えん。騎士の子等よ、火を!
ギルディ:この赤に染まる競技場が、余の血を激らせる、のう。がっはっは!喜べ子等よ。今日は、なんと素晴らしき日か!これより、本日最後の試合をとり行う!名を呼ばれたものは、競技場に入るが良い!
ギルディ:神兵団筆頭騎士ビビアン シュバリエ セブ!入れ!
ビビアン:・・・(入場し、一礼をし)ビビアン!参ります!!
ギルディ:対するは、魔族の王ヴォルカス ディアブロ ローイ!入れ!
ヴェル:・・・(入場し、一礼をし)・・・ふむ。
ーーどよめく観客
ギルディ:がっはっは!子等よ、焦るでない。
ギルディ:この10年という節の年に、我々は見合うこととなった!これは、争いではない!!太平という名のものに人と、魔族の子等の誇りをかけた手合わせである。叡智なる子等よ、この男は、万を超える兵士を打ち砕き、1000年という長き戦いでただの一度もその首を我らが剣の下に晒すことのなかった、まさに、この世で最も険しく高き山である!
ギルディ:今、我らが10年の鍛錬の成果を、この世界に示す時。ビビアンよ!
ビビアン:はい!
ギルディ:見せてみよ。ここにいる全ての子等に。その、勇姿を。
ビビアン:承知しました。
ギルディ:ヴォルカスよ!
ヴェル:なんだ。
ギルディ:人の力を、今一度、その手で受けてみよ!
ヴェル:ふん。
ギルディ:では、余は貴様等の健闘を楽しみにしておる。
ビビアン:魔王ヴォルカス、その胸をお借りします。
ヴェル:・・・ほう。私は気が立っておる。手加減はできんぞ。
ビビアン:・・・そうですか。見たことありませんが、剣を扱えるんですか。
ヴェル:少々、心得がある程度だ。
ビビアン:ふ、そうですか。ふふふ・・・私の首、ですか。
ヴェル:そうだ、そなたの師より聞いておる。
ビビアン:そうですか。甘く見ないことですね。
ヴェル:甘くなど、見ておらん。
ビビアン:そういえば、私の首とともに、あなたの大切なイーラさんの首が落ちるかもしれませんよ。
ヴェル:ほう、くだらん。では、ここにいる者全て、消しとばしてくれようか。
ビビアン:ふ・・・(大笑いして)・・・先日は腑抜けを晒したかと思えば、今私の前にいるのは魔王そのものであったり。あなたは、全く面白いですね。
ヴェル:どういうことか。
ビビアン:ふふふ、この上なく、そうですね、人間らしい、と感じます。
ヴェル:・・・ほう。
ビビアン:どうせ、首を落とす気など、ないのでしょう。
ヴェル:・・・どうだろうか。
ビビアン:・・・あなたという男は・・・まぁいいでしょう。始まります。
ギルディ:・・・では、はじめよ!!
ビビアン:いきます!(突進)
ヴェル:・・・ほう。神の力は使わんか。(避けて)それで耐えるの、か(蹴飛ばす)
ビビアン:(腕で押さえて)当たり前、です!(空いている手で剣を振る)
ヴェル:ふむ、なぜだ。(距離をとって)
ビビアン:必要であれば、使いますが。
ヴェル:ほう。
ビビアン:あなただって、魔素を使っていませんよね。
ヴェル:そうだ。
ビビアン:それと同じです。
ヴェル:・・・酔狂なことだ。
ビビアン:そうですか。結構です。
ヴェル:ふむ。では、次はこちらから、ふっ(高く飛んで)
ビビアン:迎え撃ちましょう。
ヴェル:実直でよい、がっ!(剣を投げる)
ビビアン:なっ!(避けて、剣が地に刺さる)
ヴェル:遅い(瞬間で詰め寄り、剣を取る)
ヴェル:なっ。(剣を振る)
ビビアン:う・・・(打ち合って)
ビビアン:うあ・・あぁあ!っく!・・・(飛ばされ、剣を地に刺して)
ビビアン:っく・・・(堪える)
ヴェル:ほう、堪(こら)えるか。
ビビアン:ふふ、ふふふ、ふふふ、はっはっは!恐ろしい力ですね。ヴォルカス!
ヴェル:そうか。
ビビアン:それだけの力を持ちながら、大戦に負けたとは、笑えますね。
ヴェル:・・・ほう。
ビビアン:私たちの程度の命が100集まったところで、到底あなたを超えることはできないでしょう。
ヴェル:そうかも、しれんな。
ビビアン:すみません。人のみの力であなたと打ち合おうとしたこと、愚かでした。お師様、その力をお借りします。
ヴェル:・・・ほう。
ビビアン:当然です。一度戦場に立った時、そこは、勝つことが全てですから。・・・余力を残して勝てないのであれば、全力を出すだけです。
ヴェル:その力を使ったとして、変わるのか。
ビビアン:変わらないかもしれません。
ビビアン:ですがっ!!(突進する)
ヴェル:ふっ!!(打ち合って)・・・ほう。
ビビアン:何度も言わせないでください、一度戦場に立てば(打ち合いから離れて)
ビビアン:・・・勝つことが全てです!!(剣振る)
ヴェル:退け!!(弾いて)
ビビアン:っく・・・
ヴェル:なんと、勝つことが全て・・・か。
ヴェル::ふん!(打ち込む)
ーーここから、打ち込みながら会話が進む
ビビアン:なんとでも言いなさい!!(打ち込む)
ビビアン:この!!(打ち込む)
ビビアン:小さな命!!(打ち込む)
ビビアン:など!(打ち込む)
ビビアン:線香の灯火に等しいかも、しれません!!(打ち込む)
ヴェル:では、なぜ、その腕を振るうか!(打ち込む)
ビビアン:いかに!!(打ち込む)
ビビアン:矮小であっても!!(打ち込む)
ビビアン:私には守るべきものがあるからだ!!(打ち込む)
ヴェル:(大きく離れて開けて)・・・ほう、では聞くが。
ヴェル:なぜ、戦意なき者にすら刃をむける!
ヴェル:それも、人の仲間へ!!(打ち込む)
ビビアン:何度!(打ち込む)
ビビアン:言えば!!(打ち込む)
ビビアン:わかりますか!!(打ち込む)
ヴェル:わからん!(打ち込む)
ヴェル:なぜそれを!(打ち込む)
ヴェル:正義と呼ぶか!!(打ち込む)
ビビアン:(間を取って)あの時と全く同じことを聞きますか・・・
ビビアン:(突進する)あそこで殺さずおけば!(打ち込む)
ビビアン:彼もの達が改心をして、熱心に働くと、思っているのですか!(打ち込む)
ヴェル:では・・・聞くが!(打ち込む)
ヴェル:改心をしないと!(打ち込む)
ヴェル:なぜ言い切れる!!(打ち込む)
ビビアン:そんなことは!(打ち込む)
ビビアン:知りません!!!(打ち込む)
ヴェル:・・(離れて)・・・ふむ。ギルディと似たことを言うか。
ビビアン:そうですか、お師様と似ていますか。
ヴェル:なぜ、切り捨てるか。
ビビアン:これも、また言いますが。私のような、小さき者に背負える命など、たかが知れていますから。
ヴェル:・・・それほどの力を持ってなお、ぬかすか。
ビビアン:当然です。油断をすれば、私が愛するものなど、簡単に手をすり抜けて落ちていきます。
ヴェル:・・・ほう。
ビビアン:知らぬ、とは言わせません。
ヴェル:では、問うが、ビビアンよ。
ビビアン:なんでしょう。
ヴェル:私は、魔族の全てを愛しておった。
ビビアン:そうですか。
ヴェル:なぜ、私の手を抜けていくのだ。この1000年、ひと時たりとも思いを違えたことなど、ない!
ビビアン:で?・・・あなたが未熟だった。それだけです。今、また私にその愚かな隙を(突進)・・・
ビビアン:見せているのですから!(振り抜く)
ヴェル:(つぶやきながら剣を受ける)・・・私は、愛した、これほどになく・・・。
ビビアン:それが!!(打ち込む)
ビビアン:何だと言うのですか!!(打ち込む)
ヴェル:(つぶやきながら剣を受ける)・・・神を捨て、魔に身を落とし・・・
ビビアン:人の手は!!(打ち込む)
ビビアン:2本しかありません!!(打ち込む)
ヴェル:この数千の時を捨てた!(打ち込む)
ヴェル:私が掴もうとした全ては!!(思い切り切りつけて)
ビビアン:っく!!(大きく弾かれる)
ヴェル:なぜだ・・・!!(突進して)
ビビアン:くぅ!!!(大きく弾かれる)
ヴェル:なぜ、私が、負けねば!!(突進して)
ヴェル:なぜ、私が負けねばならん!!!(打ち込む)
ビビアン:っく!!!(受けて)
ビビアン:私たちには・・・っく!(受けて、距離をとり)
ビビアン:・・・己の命と、たった一つ、愛する何かを掴む手があるだけです!!!(突進)
ビビアン:そんなことも、わかりませんか!!!(打ち込む)
ビビアン:ヴォルカス!!(打ち込む)
ーーーーー
ーー過去の戦場
ーーーーー
ヴェル:龍人よ!!
龍人族長:あぁあああぁああああ!!!・・・か、かすった程度です!わらわより、魔王様が!!
ビビアン:散りなさい!!
悪魔族長:ぐ・・・あああぁあああ!・・・ぐぅ・・・
ビビアン:全隊!!今です!悪魔どもを潰します、続きなさい!!
神兵騎士(男):はっ!いくぞおおお!
悪魔族長:ぜぇ、はぁ・・・くそおぉお!
淫魔族長:さ、させないわよ!!
ビビアン:私の前で、同じ術を使えると!!(接近して)思いますか!!(斬りつける)
淫魔族長:きゃああああ!・・・い、いったぁ・・・
ヴェル:そなたら!!
ギルディ:人の心配とは、随分と、余裕じゃのう!がっはっは!
航空砲台操舵士(女):第十一隊、第十二隊、撃てー!!
龍人族長:魔王様!!
ヴェル:龍人、出るな!っく!させん!!(魔素の壁を作る)・・・ぐ・・・
龍人族長:魔王様!わらわのことは見捨ててください!
ヴェル:何度も言うておる。・・・誰一人・・・死なせは、せん・・・
ギルディ:甘い、甘い、甘い、甘い、のう、ヴォルカスよ。ほれ(突進して)逃げんと、終わりだか。
ヴェル:っく!寄る、でない!(体から衝撃派)
ギルディ:おぉっと・・・がっはっは。休みなく魔素を消費してなお、まだ余を退けるか。
ヴェル:っく・・・
ギルディ:どうだ、人の砲台は。さながら雨であろう。・・・子等よ!引けえい!
ビビアン:っは!全隊、敵から離れなさい!!
悪魔族長:な、なんだ・・・何がきやがんだ!
神兵騎士(男):っは!
淫魔族長:あ!ちょ、ま、まずいんじゃい!?
ギルディ:打ち込め。
航空砲台操舵士(女):第十一隊、十二隊はヴォルカスへの砲撃を続けなさい!第十三、十四、十五の三隊は魔導焼夷弾を地上へ放ちます!!
ヴェル:ま!まて!
ギルディ:がっはっは!どこの世界に、戦争地で大人しく待つ者がおるか、のう。
淫魔族長:ぜ、全員!!海岸線からひきなさい!!
悪魔族長:な、なんだ!あの数!!
ビビアン:行かせません!高速弾、打ちなさい!!
神兵騎士(男):打てー!
淫魔族長:あ、あんたたち!早く!逃げれるものは逃げなさい!
悪魔族長:ぐあああ!逃げろお前らああ!
ギルディ:そういえば。
ヴェル:龍人よ!
龍人族長:なんじゃろうか。
ヴェル:ここを頼めるか!!
龍人族長:できる限り、努めましょう!龍人よ!魔王様を敵の砲より守るのじゃ!
ギルディ:ヴォルカス。
ヴェル:!?
ギルディ:そろそろ、日付が変わる、のう。
ヴェル:・・・ギルディ!!!貴様ぁあああああああ!!
ギルディ:がっはっは!そうだそうだ!その奈落の眼よ、愚かな貴様にはその眼がよく似合う、のう。
ヴェル:許さん!ギルディイィィィイイ!(ギルディに突っ込み、波動攻撃)
龍人族長:魔王様!!
ギルディ:ぬぅ!!・・・ぐぅう!・・・がっはっは。
ヴェル:貴様は今ここで粉微塵にしてくれる、ギルディ!!(再度波動攻撃)
ギルディ:おぉっと!がっはっは。ほれ、見てみい。
ヴェル:!?
淫魔族長:きゃあああああ!・・・あ!!あんたたち!!!はやく!逃げなさい!!
悪魔族長:くっそおお!なんだ、なんなんだよ!!
ヴェル:悪魔!淫魔よ!!
ギルディ:くくく・・・(大笑いして)・・・今、気を取られねば、余を捉えられたものを。
航空砲台操舵士(女):第十六、十七、十八の三隊!魔導焼夷弾を地上へ放ちます!!
ヴェル:・・・!?私は、私は!!
ギルディ:なんだか?
ヴェル:誰一人、死なせは・・・せんと!!
ギルディ:がっはっは!ぬるいのう・・・ほれ、早う、退け。仲間とやらをおいて、間に合わなくなる前に、のう。
龍人族長:魔王様!!
ヴェル:!?私は・・・私は・・・、なぜ、私は・・・
龍人族長:老師の言葉に惑わされてはなりません!魔王様!
神兵騎士(男):ビビアン様!新手です!!
ビビアン:死人(しびと)!?切っても死なぬ、厄介な相手です!一度下がりなさい!
ギルディ:・・・がっはっは!そうか、魔王の軍にも、優れた者がおったか!
淫魔族長:へ・・・!?サラ・・・様!?
悪魔族長:・・・あの女・・・
ヴェル:・・・サラ!?
龍人族長:なんと・・・サラ殿・・・
ギルディ:万に届く死人(しびと)か。今日は新月だったか、のう。
ーーーーー
ーーイーラとヴォルカスが出会った日
ーーーーー
エリス:イーラや。今日は、1年で一番立派なお祭りさね。ちょっとだけ、一緒に見にいきましょう。
イーラ:え、えー・・・。いきたくない・・・。
エリス:ふふふ、今日はばあばも一緒だから。大丈夫よ。
イーラ:だって・・・だって、みんなどうせ来てるもん!
エリス:久しぶりに、顔を見せてあげたらどうさね。きっと、喜ぶ子がいると思うわよ。
イーラ:やーだ!
エリス:あらあら。じゃあ、ばあばと一緒に回りましょうか。
イーラ:え・・・うーん。じゃぁそのくらいなら。・・・でも・・・。
エリス:心配しないで。もう1年もサイレンは鳴ってないんだから。大丈夫。
イーラ:そ、そっか。うん、じゃぁ、ちょっとだけ見にいきたい!
ーーーーー
ーーお祭りから帰る途中
ーーーーー
イーラ:じゃあばあばはどう思うの!?私のこの服!
エリス:ばあばは可愛いと思う。けどもね。
イーラ:じゃあいいの!ばあばが可愛いって言ってくれるなら!(友達の真似風)真っ黒でなんかしみっぽーい、なんて!みんなの方がずっと可愛くないもん!(走り出す)
エリス:あ、これ。
イーラ:いいんだもーん!みんなとなんか遊ばなー、わっ!(ヴェルにぶつかる)
ヴェル:ん?
エリス:おぉ、すみません。前も見ずに
イーラ:いたた・・
ヴェル:気にするな。子供は元気な方がよい。(イーラを見て手を出して)すまぬ、避けることができなかった。
イーラ:??(ちょっと驚く)・・・こ、こちらこそごめんなさい。
ヴェル:(エリスに向き直り)素直で良い子だ。怪我がなさそうでよかった。では、これで。
ーーーーー
ーーその日の夜、ヴェルがエリスの家に泊まっている。
ーーーーー
ヴェル:(ノックする)起きておるか。
イーラ:んー、どうぞ。(ちょっと眠い)
ヴェル:失礼させていただく。
イーラ:やっときた。遅かったのねぇ。
ヴェル:すまぬ。話し込んでしまってな。
イーラ:ん。ゆるそう。
ヴェル:ふっ・・・。
イーラ:ねえ、ヴェルはどこからきたの?
ヴェル:難しい質問だ。私は・・・。
イーラ:ねえ、魔王っているの?
ヴェル:なぜ、それを聞く?
イーラ:あのね、本を読んだの。魔王はね、ヴォルカスっていうの。私はね、きっと可哀想な人だって思うの。
ヴェル:ほう。
イーラ:それでね、私が生まれた年に魔王は死んだの。けど、誰も会ったことがないんだって。どんな人か知らないんだけど悪い人だって。
ヴェル:ふむ。
イーラ:でも私はそう思わないの。魔王はきっとね、いい人だったのよ。
ヴェル:当たってもいるが、間違ってもいる。
イーラ:ヴェルは、魔王のこと知っているの?
ヴェル:多少なら。
イーラ:やっぱり。ねえ、話して。そのお話。ヴェルの知っていることでいいの。
ヴェル:ふむ。では・・・
ーーーーー
ーー翌日、イーラがサイレンを鳴らしてしまった後
ーーーーー
イーラ:やめてーー!ばあばに手を出さないで!!
貴族兵:っち、わかったわかった。離すから騒ぐな。(エリスの胸ぐらを話す)
エリス:はあはあ
イーラ:ばあば!
貴族兵:サイレン!?な、何事だ!どうなってやがる!
エリス:・・・
貴族兵:(エリス達に)お、おい、お前ら、緊急事態だ。奴隷のことは後だ。今は家の中にはいっておけ。多分この近くが発信源だ。
エリス:・・・いいえ、大丈夫でございます。
貴族兵:・・・ん?
エリス:・・・
貴族兵:なんだ、何か知ってるのか?
エリス:えぇ。私は半魔でございます。
貴族兵:・・・ほう?半魔とな?
エリス:すみませんでした。
貴族兵:あんた、半魔の登録は?
エリス:していませんでした。
貴族兵:そうか。では、無断居住の罪で刑にかけさせてもらうが。よいのか?あんた・・・ここに昔から住んでんだろ?
エリス:かまいません。
イーラ:ばあば!
エリス:大丈夫さね。イーラ。刑を受けたらすぐに戻って来れるからね。
イーラ:まって!ばあば!今のは・・・!
エリス:しっ、だめよ。イーラ。あなたが捕まってしまったら、悲しむ人がたっくさんいるの。
イーラ:なんで!でも!だからってばあばが!
エリス:私はもう十分に生きてきたさね。イーラとも、イーラのママとも十分に。
イーラ:なんでよ、なんでよ・・・。きっと私がやったの!!ほら!今は大丈夫!ほら!ね!
ヴェル:すまぬ。一足遅れた。
ーーヴェルが空から、兵士の後ろに降りてくる(エリス、イーラ同時)
エリス:ヴェル様!
イーラ:ヴェル!
ヴェル:守り人よ。私の友人が世話になった。
貴族兵:うおぉぉ!あんた誰だよ!
ヴェル:ふむ。ヴェルという。事態は急がねばならぬ。
貴族兵:あん?。。。な、なんじゃありゃ。。。
エリス:暗雲(くらくも)に・・・龍・・・?
イーラ:なに、あれ?
ヴェル:魔王の気は、当てられた魔の者の姿を大きく変える力がある。
イーラ:わ・・・私が・・・?
貴族兵:ま。。。まて、あいつ街に!
ヴェル:主人を救おうとしておるのだろう。
貴族兵:どういうことだ・・・ま、街に。。。街が!!!。。。(後ろの後輩に向かって)お前たち!外にいる者を全て、屋内に待避させろ!急げ!
ヴェル:待て!この街の守人よ。
貴族兵:な、なんだよ!
ヴェル:私が預かろう。
ーーーーー
ーーその晩、ヴェルが泣いているところに、イーラが来る。
ーーーーー
イーラ:んー・・・あれ・・・ヴェル
ヴェル:イーラか。。。
イーラ:・・?・・・泣いてるの?
ヴェル:ふむ。。。起こしてしまったか。すまぬ。
イーラ:(目を擦って)んーん。大丈夫。ヴェル、どうしたの?
ヴェル:昔を、思い出したのだ。
イーラ:そうなの。負けたの?
ヴェル:そうでは、いや、そうだ。
イーラ:ふーん。大丈夫よ。ヴェルは強いから。(そっと膝をつくべるの頭を抱く)
ヴェル:・・・そんなことはない。
イーラ:大丈夫。次は勝てるよ。
ーーイーラに抱かれて段々と大泣きしはじめるヴェル
ヴェル:・・・イーラよ、何度も間違えてきたこの私に、また次など、あるのだろうか。
イーラ:うん、あるよ。
ヴェル:・・・そうか。
イーラ:うん。誰にだって、いつもあるんだよ。
ーーーーー
ーービビアンの首に剣を突き立てるヴェル
ーーーーー
ギルディ:勝者!魔王ヴォルカス!!
ビビアン:・・・首を、刎ねないのですか。
ヴェル:・・・。
ビビアン:精一杯ですか?
ヴェル:・・・イーラが止めねば、今そなたの首はそこにない。
ビビアン:・・・そうですか。
イーラ:ヴェル!!
ビビアン:!?・・・イーラさん?
ヴェル:!?
イーラ:ヴェル、ヴェル!ヴェル!!(走ってこようとしてドレスにつまづいて)・・・あっ・・・わっ!(抱き止められる)
ヴェル:(イーラを抱き止めて)・・・イーラよ。気をつけることだ。
イーラ:ふぇ・・・ヴェ、ヴェル・・・
ヴェル:ふむ。焦ってどうした。
イーラ:ヴェルが・・・ヴェルが、泣いてたから。
ヴェル:!?・・・そうか。ありがとう。
イーラ:(泣き出して)え・・・わ、私も・・・私も・・・よかった、ヴェル、怪我、してない?
ヴェル:ふむ。大丈夫だ。イーラは、大丈夫か。
イーラ:うん・・・うん・・・大丈夫、ヴェル・・・会いたかった、会いたかった・・!!
ヴェル:そうか。
イーラ:好き!ヴェル、好き!私・・・ヴェルのこと好き!・・・私・・・
ヴェル:・・・そうか。・・・イーラよ。
イーラ:何?ヴェル・・・
ヴェル:すまなかった、一人にさせてしまって。
イーラ:え・・・い、いいよ。迎えに来てくれたから・・・私の方こそ、ごめんなさい。
ヴェル:・・・いや、イーラが謝ることはない。
イーラ:私も、守るって言ったのに・・・
ヴェル:ふ、そうか。して、イーラよ。
イーラ:ふぇ?なに?ヴェル。
ヴェル:ドレスも化粧もこれほどになく似合っておる、イーラよ。
イーラ:え・・・にへへ、ありがと、ヴェル。
ヴェル:うむ。そなたは、私にとって、この世でもっとも美しい有明の陽光である。
ーーーーー
ーーただ君だけを、守りたいと願う〜朝日〜